カーリンビル~リッチフィールド~リビングストン~グラニット・シティ~オールトン~グラフトン

カーリンビル~リッチフィールド~リビングストン~グラニット・シティ~オールトン~グラフトン

文・写真:長野尚子

カーリンビル 州都の有力候補だった町

カーリンビル 州都の有力候補だった町

イリノイ・ルート66の旅3日目、いよいよイリノイ州の最終ポイントへと向かいます。
我々の後を追うかのようにイリノイ州南部を熱波が襲い、この日の気温は約38℃。体感気温は40℃を超え、バイクで感じる風はもはや熱風。

スプリングフィールドから州道4号線沿いを小さな町々を通り抜けながら南下、まずはカーリンビル(Carlinville)という田舎町へ。

州道4号線

この州道4号線はかつて「ルート66」の正式ルートだった道。
道路標識にも「1926-30」の表示がみられます(写真)が、その頃はまさに禁酒法全盛期。ここからほど近い場所にアル・カポネが巨大な密造酒の貯蔵庫を建ててシカゴに酒を運ばせていたという逸話も残っています。

キャノンボール刑務所 砲弾が埋め込まれた石の壁

キャノンボール刑務所皮肉にも、カーリンビルの観光名所は、「キャノンボール刑務所」(Cannonball Jail)とその道向かいにある「ミリオンダラー裁判所」(Million Dollar Courthouse) 正式名称:マコピン群庁舎 (Macoupin County Courthouse)。

キャノンボール刑務所

ゴシック・リバイバル様式の外観が印象的な「キャノンボール刑務所」は、脱走防止のため石の空洞に南北戦争時の砲弾を埋め込んだ独特の「砲弾(キャノンボール)方式」で建造され、1869年から1988年まで使用されていました。
ツアーに申し込めば独房体験もできます。

キャノンボール刑務所(Cannonball Jail)
E 1st S St, Carlinville, IL 62626 → Map
https://www.riversandroutes.com/directory/macoupin-county-cannonball-jail/

ミリオンダラー裁判所 建設費100万ドル超え

ミリオンダラー裁判所道を挟んで建つ「ミリオンダラー裁判所」は、南北戦争直後の1867年から3年をかけて建設されました。
金色に輝く石材ブロックと、40フィート(約12メートル)のコリント式柱が並ぶ柱廊で構成されたルネサンス復興様式の傑作。
アメリカ初の耐火構造建築物であり、ニューヨークの庁舎以外では当時国内最大級の規模を誇りました。
建設費は当時破格の約140万ドルを擁し、税金負担で長く住民を苦しめたといいます。
イリノイ州史上最大の“予算超過事例”となったその理由は、同市が州都の候補地として有力視されていたからだとか。

ミリオンダラー裁判所

内部はいたるところに精巧な木工細工が施され、アーチ型の重厚な扉を開けると、イタリア産大理石の判事席、細やかな彫刻の美しいクルミ材の座席などに目を奪われます。

ミリオンダラー裁判所 (Million Dollar Courthouse)
※ 正式名称:マコピン群庁舎 (Macoupin County Courthouse)
205 E. 1st St. Carlinville, IL 62626 → Map
https://www.illinoiscourts.gov/courts-directory/30/Macoupin-County-Courthouse/court/

ピンク・エレファント・アンティック・モール

ピンク・エレファント・アンティック・モール

コリンビルから再び灼熱地獄の中を州道4号線→国道55号線と南下すること約30分。
ルート66の名所のひとつ、「ピンク・エレファント・アンティック・モール(Pink Elephant Antique Mall)」が現れます。

ピンク・エレファント・アンティック・モール

倉庫入口のマフラー・マンたちに出迎えられ中に入ると、古きアメリカの匂いがぷんぷん。

ピンク・エレファント・アンティック・モール

生活雑貨やブリキの人形などが雑然と並ぶアンティック・ショップ、巨大アイスクリームが有名なスウィート・ショップ、キャンディー・ショップなどが混在しており、大人も子供もわくわくする空間です。

アメリカン・クラシック・カー・ショー

週末毎に様々なイベントでにぎわうモール前の広場では、「アメリカン・クラシック・カー・ショー」の真最中で、地元の家族連れがのんびりとBBQを楽しむ姿が見られました。
こういう風景は、まさにアメリカ。

ピンク・エレファント・アンティック・モール
(Pink Elephant Antique Mall)
908 Veterans Memorial Drive, Livingston, IL 62058 → Map

グラニット・シティのネオンサイン・パーク

ネオンサイン・パーク

本日の最終目的地は、グラニット・シティ(Granite City)。
かつてこの町で花崗岩(グラニット)製の調理器具が生産されていたことに由来するそうです。

ネオンサイン・パーク

ルート66沿いの地元企業を称え、古いネオンサインを再現した「ネオンサイン・パーク」には、ルート66にまつわる壁画や彫刻などが飾られており、まるで映画セットの中にいる気分に。

ネオンサイン・パーク (Neon Sign Park)
1300 19th Street and Delmar Ave, Granite City, IL 62040 → Map
https://www.riversandroutes.com/directory/its-electric-neon-sign-park-on-route-66/

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ

旅の4日目は、「ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ」(World Wide Technology Raceway)」から。

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ

最終日のご褒美は、「ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ」でのレース体験!

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ

NASCAR、INDYCAR、NHRA、Formula DRIFTなどのトップ・イベント会場で、世界から集まったバイク仲間たちが時速120キロほどでぶっ飛ばす。この快感!

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ

ここからお隣のミズーリ州、セント・ルイスまでは、車で数分の距離。
アメリカを南北に流れるミシシッピ川の真ん中が州境で、セント・ルイス名物のゲートウェイ・アーチが、遠くに見えます。

ワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ
(World Wide Technology Raceway)
700 Raceway Blvd, Madison, IL 62060 → Map
https://wwtraceway.com/

州境を走るグレート・リバー・ロードと絶景のエアリーズ・リゾート

エアリーズ・リゾート

イリノイ・オールド・ルート66の旅のラストランは、ミシシッピ川沿いを走る州道100号線、通称「グレート・リバー・ロード(Great River Road)」。

エアリーズ・リゾート

旅の無事を祝い、最終日の夜は「ミッドウェストで最も美しい景色」を誇るイリノイ州グラフトン(Grafton)にあるリゾート、「Aerie’s Resort (エアリーズ・リゾート)」で絶景を見ながら仲間と杯を交わします。
眼下にミシシッピ川、そして対岸のセント・ルイスを眺めながら・・。

エアリーズ・リゾート(Aerie’s Resort)
14 W Main St, Grafton, IL 62037 → Map
https://www.aeriesresort.com/

イリノイ・ルート66 旅の終わりに

主に有名ポイントを巡った今回の旅でしたが、ルート66の旅の本当の楽しみは、「地図に載っていない自分だけのルート66」を見つけ出すことかもしれません。
沿線に広がる果てしない景色、土の匂い、中西部独特の食文化、人々の日々の営みなどに触れることで、そこで暮らす人々の人生観や宗教観が見えてくるからです。

セント・ルイスからさらに、終点のサンタ・モニカ(カリフォルニア州)までをいつか走破してみたい。
夢はまだまだ続きます。

<完>

その他沿線の見どころ・名所

<リッチフィールド>

アリストン・カフェ Ariston Café

アリストン・カフェ100年以上の歴史を誇るルート66を代表するカフェ
1924年創業とルート66よりも歴史が古いカフェ。当初は隣接する町カーリンビルにあったが、1930年のルート66再編でカーリンビルが迂回されリッチフィールド経由となったため、ここに移転した。

 → Map
https://www.ariston-cafe.com/

<グラニット・シティ>

ザ・スピークイージー  The Speakeasy

ザ・スピークイージー禁酒法時代の“隠れ酒場”を体験
禁酒法時代の魅力と現代のミクソロジーが融合する空間。食肉保管庫の扉の奥にひっそりと佇む、1920年代を彷彿とさせるスタイリッシュなバー。店に入る“合言葉”がある。

1318 Niedringhaus Ave, Granite City, IL 62040 → Map
https://www.facebook.com/speakeasygc

<オールトン>

ダウンタウン オールトン Downtown Alton

ダウンタウン オールトンレンガの石畳や坂道がノスタルジックな街並み
ミズーリ州との州境にある人口約25,000人の町オールトン。ダウンタウンエリアには、ローカルブティック、アンティークショップ、手作りの陶器屋など、チャーミングなショップが軒を連ねる。

Alton, IL → Map
https://www.riversandroutes.com/cities-towns/visit-alton/

<グラフトン>

グラフトン・ワイナリー The Grafton Winery: Brewhaus and Vineyards

グラフトン・ワイナリー絵画のようなワイナリーで極上の時間を
数々の受賞歴を誇る家族経営のワイナリー。温かい中西部流のもてなしが評判。広大なガーデンエリアでいただく中西部料理とワインに舌つづみ。

21028 Eckert Orchard Rd., Grafton, IL 62037 → Map
https://thegraftonwinery.com/

取材協力

宿泊ホテル情報

<ポンティアック>

ハンプトン・イン ポンティアック Hampton Inn, Pontiac
2000 Grand Prix Dr, Pontiac, IL 61764
https://www.hilton.com/en/hotels/bmipihx-hampton-pontiac/

<スプリングフィールド>

クラウンプラザ・スプリングフィールド-コンベンション・センター
Crown Plaza Springfield-Convention Center
3000 S Dirksen Pkwy, Springfield, IL 627034
https://www.ihg.com/crowneplaza/hotels/us/en/springfield/spicc/hoteldetail

<コリンズビル>

ダブルツリー・バイ・ヒルトン・コリンズビル – セント・ルイス
Double Tree by Hilton Collinsville-St. Louis
1000 Eastport Plaza Dr, Collinsville, IL 62234
https://www.hilton.com/en/hotels/stlcndt-doubletree-collinsville-st-louis/

<グラフトン>

エアリーズ・リゾート Aerie’s Resort
14 W Main St, Grafton, IL 62037
https://www.aeriesresort.com/

観光マップ

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長野尚子 プロフィール

長野尚子フリーライター、編集者。(株)リクルートのメディア制作マネージャー&ディレクターを経て、早期退職。アメリカ(バークレー)へ単身、人生の武者修行に出る。シカゴのアート&音楽情報サイト「シカゴ侍 http://www.Chicagosamurai.com 」編集長。四国徳島とシカゴの架け橋になるべく様々な分野で活動中。著書に『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。日本旅行作家協会会員。
Shoko Nagano HP ⇒ http://www.shokochicago.com/


バイクで旅する イリノイ・ルート66 ~Get Your Kicks on Rt.66
キックオフはシカゴから!
ポンティアックからスプリングフィールド
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