ガッツォン・ボーグラム マウントラシュモアを彫った彫刻家
ラシュモア山の岸壁に巨大な大統領の顔を彫ったのは、アイダホ州で生まれでカリフォルニア州で育った、デンマーク系アメリカ人の彫刻家、ガッツォン・ボーグラム(Gutzon Borglum 1867年3月25日~1941年3月6日)です。
ガッツォン・ボーグラムは、23歳の時にパリに留学し、ジュリアン・アカデミーで彫刻について学びますが、その時に『考える人』で有名なオーギュスト ロダンに影響を受けます。アメリカに帰ってきたガッツォン・ボーグラムは、ニューヨークに拠点を置いて活動を始めます。いくつかの作品は高い評価を受けて、38歳の時にはメトロポリタン美術館に、現役のアメリカ人彫刻家として初めて作品(※1)を買い上げられました。その快挙は更にガッツォン・ボーグラムの名を世に知らしめることになりました。
※1“ディオメデスの雌馬”(Mares of Diomedes)
ラシュモア山に彫る
ガッツォン・ボーグラムは、サウスダコダ州のどの山に彫刻を彫るのかを検討するために、いくつもの山を見て回りました。そしてラシュモア山(標高1,745m)を選びました。ラシュモア山を選んだ理由は、いくつかあります。
・日照時間の長い南東向き。
・16億年前にできて非常に硬質な岩質なので風化しにくい。
・山裾が広がっているので、眺めやすく、削った岩の瓦礫を処理する必要が無い。
などがあげられます。
出来上がった彫刻は、近くで見ることはもちろん、アイアン・マウンテン・ロード(Iron Mountain Road)などの少し離れた場所からも全貌を見ることができます。岩を削る前にダイナマイトで吹き飛ばした45万トンの瓦礫は、山裾になだらかに溜まっています。
マウントラシュモアの制作方法
ラシュモア山の岩は非常に硬質で、後に風化しにくいという事で、この場所に彫刻する事にしましたが、硬質な岩なので作業は困難となります。
まずは、大まかなディテールが残るように、不要な部分をダイナマイトで吹き飛ばす作業から始まりました。
ある程度の形になると、作業員がウィンチに吊り下げられたボースン・チェアというブランコのようなものに腰掛けて、宙吊りの状態で空気圧ドリルを使って整えていきます。この時に、作業員は10cmぐらいの各大統領の顔の模型(サンプル)を持っていて、それを参考にして作業を進めました。更に細かい所は、ノミと金槌で仕上げました。
制作に携わった作業員数は400名です。
大統領が3人から4人へ
最初のデザインでは、大統領は初代大統領 ジョージ・ワシントン、3代大統領 トーマス・ジェファーソン、16代大統領 エイブラハム・リンカーンの3人の大統領を彫る予定でした。しかし、デザインをラシュモア山に合わせてみると、もう一人の大統領の顔を入れることができ、その方がデザイン的に良いことが判明しました。
そして、26代大統領 セオドア・ルーズベルトを加える事となりました。
ラシュモアの彫刻に並ぶ大統領が時代順でないのは、そのためです。
彫刻のディテール
この彫刻が高い評価を得ているのは、髪の毛の生え際やルーズベルトのメガネなどのディテールにこだわっていることです。そして、最も評価が高い部分はまなざしです。意思の強そうなリーダーに相応しい生気みなぎる、まなざしの力強さが見る者に感動を与えるのです。
マウントラシュモア国立モニュメント への行き方
日本より、アメリカの主要都市を経由して、サウスダコダ州のラピッド・シティ・リージョナル空港へ。
ラピッド・シティ・リージョナル空港からAlamo やHertz のレンタカー利用で、31.5miles(約50km)約40分の道程。
※ この地図の行程は、一例となります。
Mount Rushmore 13000 S Dakota 244, Keystone, SD 57751