神に召された日に

Day3 4月21日(土曜日)

プリンスの使徒たち

今日の「フェンス」。次々とファンが訪れメモリアルグッズを置いていく。

セレブレーション3日目の4月21日はプリンスの命日。皆で黙祷をささげ、今日のプログラムが始まった。

文・写真:長野尚子 Text・Photo :SHOKO NAGANO

プリンスの使徒たち

他のグループで同時並行して行われていた「ICONOGRAPHY パネル」の様子。
左からNancy Bundt, Terry Gydesen & Nandy McClean at Paisley Park during Celebration 2018.

セレブレーション3日目のスケジュール

5:00 ~ 5:50 pm“ファンク・ソルジャーズ”パネルトーク
6:00 ~ 6:45 pmフィルム・コンサート
7:50 ~ 8:45 pmダンサーズ・パネルトーク
8:45 ~ 9:45 pm“ファンク・ソルジャーズ”ライブ

昨夜、ターゲットセンターでの素晴らしいライブで観客を魅了した「ファンク・ソルジャーズ(Funk Soldiers)」のメンバーによるパネルトークから始まり、プリンスのフィルム・コンサート、プリンスの元嫁でバックダンサーのMayte Garcia(マイテ・ガルシア)と、同じくダンサーのMaya(マヤ)によるトーク、そして締めはファンク・ソルジャーズのライブ・コンサートというメニュー。

ファンク・ソルジャーズには、昨夜のコンサートのバックで流れていたプリンスライブ・イン・ノース・キャロライナ(2011年)を観客として見ていたというメンバーもおり、感慨深げに思い出話を語ってくれた。
バンドの皆が口を揃えるのは、プリンスのリハーサルの徹底ぶりだった。「プリンスは12分のステージのために12時間練習する人」「プリンスとの仕事ではどれほどリハーサルしたかわからない。どんなショーも完ぺきに準備することの大切さをプリンスから学んだ」と。

プリンス元嫁・マイテは、なぜかおばさんに人気

ダンサーズ・トークは、ナイスボディーに個性的な衣装をまとったマイテとマヤが、観客からの質問に答えるという形式だった。
「いいですか、くれぐれもダンスの質問に限りますからね」とパネラーに何度も釘をさされ、それだけで一般客はちょっと引いていく。少しはサービスしてプライベートも語ってくれればいいのに、「私の本を買ってね」「本読んでくれた?」と何度も言う商魂たくましいマイテだった。(彼女はプリンスとの回顧録を出版している)
そうはいっても、プリンスの元妻であり、子まで宿した唯一の女性を見る女性ファンの目はもう、女神様を仰ぐような羨望のまなざし。その、少々気色の悪い空気に気が萎えてしまった。
「あなたのようにダンスがうまくなるにはどうやったらいいんですか?」というような、あたりさわりのない質問が続いて、いよいよ誰も質問する人がいなくなったので私はマイクの前に飛び出して行って質問。

「あのー、プリンスが好きだった独特のポーズとか振付とかあればちょっと踊って見せてみてください」
場内喝采。
“What is his favorite… (彼のお気に入りの)”というところで一息入れたので、一瞬場が凍った気がしたけれど、そのあと「カリオグラフィー(振付)は?」と続けてみんな胸をなでおろしていた(かどうかは定かではない)。

これには二人とも顔を見合わせて「え~できないわ。プリンスの踊りはプリンスだけのものなんだもの・・」といってうやむやにしておしまい。
(それくらい、やれよ~!!シーラ・Eはやってんよ、初日に。そこがあんたらとの違いやわ。)

ファンク・ソルジャーズ・コンサート

プリンスの使徒たち

そんな、まぁどうでもいいパネルトークのあとは、ファンク・ソルジャーズのライブ。プリンスが召されたこの日に、同じ建物の中にいるんだ、私。

プリンスの使徒たち

昨夜と同じように、さく裂するエネルギーを手の届く距離で感じて終始鳥肌。若い彼らに、プリンスの魂は確実に受け継がれている。

プリンスの使徒たち

プリンスも今この瞬間、微笑みながら彼らの演奏を見ているのだろうか。ふと天井を仰いだらその瞬間、天井から防音材がボタボタッとステージ下に落ちてきた。それくらいすごい音だったのだろう。それともプリンスが防音材となって降臨したのか!?

夜のペイズリー・パーク

プリンスの使徒たち

外に出たらもう真っ暗。夜のペイズリー・パークも紫に染まっていた。

ホテルの選び方

プリンスの使徒たち「ヒルトン・ブルーミントン」は今回のイベントのオフィシャルホテルになっているので、プリンス一色。ホテルのスタッフもみな、セレブレーションのオフィシャルTシャツを着ていたし、ロビーにはプリンスの曲がずっと流れていた。ファン同士の交流も盛んだったようだ。(ちなみに私が泊まったのは、「Country Inn and Suites, Bloomington」という「モール・オブ・アメリカ」すぐそばのホテル。こちらはオフィシャルではないけれどとても居心地のよいホテルだった。)
 どこのホテルを選ぶかは、セレブレーションのオフィシャルサイトを見て値段とサービスを比較検討して決めるのがベター。送迎のあるホテルは料金がお高めだけれど、知らない土地でUberなどを使いこなせず置き去りにされることを考えると値段の価値はあると思う。
 
さて、明日はついに最終日。

5. プリンスは死なずに続く

長野尚子プロフィール

長野尚子プロフィールイリノイ州 シカゴ郊外在住、フリーライター兼編集者、ときどきジャズ・シンガー。剣道家。「人類平和」を究極のテーマとし、音楽、国際文化交流、教育、食、旅などの分野で人脈を広げながら執筆活動中。極上のブルースを求めてひとりでシカゴの夜を徘徊するのが趣味。著書に、アメリカでの「人生棚卸し」の旅3年間を綴った『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。シカゴのアート&エンタメにフォーカスしたニュースサイトChicago Samuraiシカゴ侍)」管理人。

Shoko Nagano HPhttp://www.shokochicago.com/