2018年セレブレーション 初日

Day1 4月19日(木曜日)

さて、いよいよ “2018年セレブレーション” の始まり。
プリンスの自宅兼スタジオ、ペイズリー・パークのあるチャンハッセン(Chanhassen)は、ミネアポリス市内から車で30分ほど、アメリカ中西部の典型的な郊外の田舎町。
セレブレーション参加者はまず、チャンハッセンの映画館裏にあるバス乗り場に集合することになっている。
ホテルからここまでは16マイル(約26Km)ほどの距離だが、あいにく電車もバスの便もない辺鄙な場所のためタクシーかUberで行くしか手段がない。ホテルの他の宿泊客で一緒に行きそうな人を探したけれどみつからなかったので、やむなくUberで20ドルほどかけての一人旅になった。

文・写真:長野尚子 Text・Photo :SHOKO NAGANO


プリンス 所縁の地

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

チャンハッセンの映画館の外壁一面に描かれたプリンスの肖像画に、心がもだえる。

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!集合場所からは大型のシャトルバス(無料)でペイズリー・パークへ向かう。約10分。バスの中は紫一色。初日はまだ皆緊張の面持ち。隣に座った50代の女性は昨年に続いて2度目のセレブレーション。「ここは私たちプリンス・ファミリーのグラウンド・ゼロなのよ」

まずはフェンスへ

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

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彼が亡くなった日に設けられたフェンス(“The Fence”)には、今もひっきりなしにファンからのメッセージが寄せられている。

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

この日もバスを降りたファンが次々と押し寄せて祈りを捧げる。

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

どこで発注したんだろう?

セレブレーション2018 Day1のプログラム

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

「セレブレーション2018」の参加者は、約4000人。まず二組(トラック)に分かれ、さらに3グループに細分化されて入れ替わりで全プログラムに参加する。多くのボランティアスタッフが実にてきぱきと仕事をしており、混乱はない。

今日のプログラム内容は、
11:00 ~ 11:50am シーラ・E パネルトーク
12:00 ~ 12:45pm オフィシャル・フォトグラファーによるパネルトーク
12:55 ~ 01:40pm アレンジャーによるパネルトーク
02:45 ~ 03:45pm シーラ・E パフォーマンス

オープニングでは、この日全世界で初めて公開された名曲『Nothing Compares 2 U』のスタジオライブ映像がサウンドステージ(ホール)に流れ、ファンは静まり返ってスクリーンを見つめた。後ろのカップルはすでに号泣。あちこちですすり泣きが聞こえる。エモーショナルな幕開けだ。

シーラ・E 登場

そして今年の“目玉”は、なんといってもこの人!プリンスのよき友、同志、そして“一心同体の恋人”でもあった、シーラ・E。プリンス・ファミリーの中でも知名度は抜群、日本にもファンは多い。プリンスとともに彼女を見てきたファン層(50代~60代)がほとんどを占める会場で、今回のシーラの参加の意味は絶大だ。

「ここ(ペイズリー・パーク)が建つ前、泥でぬかるんだ予定地をふたりでステージ衣装ばりの服装とヒールで歩いたことがあったの。彼は私の手を取って、ここがスタジオ、ここはキッチンだね、といいながら案内しくれたわ」と愛おしそうに語るシーラに、ファンは若き日の二人の姿を思い浮かべてまた涙。

シーラ・E のパフォーマンス

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

そのシーラ・Eが、初日をスペシャルライブで締めくくってくれた。
サイケデリックな衣装に身を包んだシーラとバンドメンバーが、観客を煽る。ドラム、パカッション、ギターと次々と楽器を変えながら踊り、歌うシーラの横にプリンスの姿を思い描き、ファンは熱狂。

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!

シーラ・Eとマイケル・ディビソン

「さぁ、周りの人にハグをして、アイ・ラブ・ユーって言うのよ!愛、リスペクト、サポートに満ちた世界。これこそが、私たちのアメリカの本当の姿よ」
涙ながらにシャウトすると会場は一瞬にして教会にかわっていった。そう、これこそ分断化されつつあるアメリカの姿だ!

ミネアポリス・スタートリビューン紙の取材を受ける

初日にして、この充足感と虚脱感・・。取材に来ていた地元新聞「ミネアポリス・スタートリビューン紙」の記者、クリスさんは今日を振り返ってこう話す。
「去年はもっと喪失感や深い悲しみに包まれていたけれど、今年はもう少しセレブレーション色の濃いイベントになっている気がする」
一人で取材に来ている日本人女性がよほど珍しかったのか、クリスさんから逆インタビューを受けた。翌日の新聞記事がこちら。
 ⇒ Prince fans converge on Paisley Park for a more celebratory Celebration

[記事より該当場所を抜粋]
A Paisley Park first-timer, Japanese journalist Shoko Nagano planned to write about how warm and welcoming the fans were to each other during the Celebration. “I understand why they call this a family,” she said.
(ペイズリー・パーク初体験の日本人ジャーナリストShoko Naganoは、このセレブレーションでファンたちがいかに温かく友好的に接し合っているかを書くつもりだ。彼女は言う。「なぜプリンスのファンが自分たちのことをファミリーと呼ぶのかがわかった」と。

ペイズリー・パークでの禁止事項

ところで、ペイズリー・パーク内は、一切撮影録音が禁止されている。もちろん携帯も使えない。携帯電話はマグネット・ロック式の小さな専用ケースに入れるので使うことができない。(ただし、休憩時にのみ外でならロックを解除してもらい使うことが可能。)メディアで使う写真はオフィシャルカメラマンが撮影したものを後から頂けることになっているので、どこの媒体も使う写真は同じだから気が楽だ。
何よりも、周囲が一切携帯で写真を撮らないからあの、気持ち悪い携帯の青い光の海を見なくてもいい。なんて新鮮!素晴らしいの!それにしても、写真も録音もないってこんなにフリーな気持ちになれるのね!
ありがとう、プリンス。やっぱりあなたって素敵だわ。

Hell’s Kitchen でひとり飲み

プリンス。生と死の“セレブレーション”潜入、裏日記。 シーラ・Eが吠えた!Day1から私のメモ帳はもう真っ黒。頭も心ももうクラクラ、超興奮状態。
夕方にホテルに戻り、今晩はミネアポリスに電車(ライトレール)でふらりと出かけてみた。
 
今日を振り返って、ミネアポリス市内の「Hell’s Kitchen」でひとり飲み。
さぁ、明日もどんなドラマが待ち受けているだろうか・・。

3. Prince:ライブ・オン・ザ・ビッグ・スクリーンに続く

長野尚子プロフィール

長野尚子プロフィールイリノイ州 シカゴ郊外在住、フリーライター兼編集者、ときどきジャズ・シンガー。剣道家。「人類平和」を究極のテーマとし、音楽、国際文化交流、教育、食、旅などの分野で人脈を広げながら執筆活動中。極上のブルースを求めてひとりでシカゴの夜を徘徊するのが趣味。著書に、アメリカでの「人生棚卸し」の旅3年間を綴った『たのもう、アメリカ。』(近代文芸社)。シカゴのアート&エンタメにフォーカスしたニュースサイトChicago Samuraiシカゴ侍)」管理人。

Shoko Nagano HPhttp://www.shokochicago.com/

ペイズリーパークの場所と行き方

Paisley Park 7801 Audubon Rd, Chanhassen, MN
ホテルからレンタカーやUberでシャトル乗り場へ行き、シャトルに乗り継いでペイズリーパークへ行く場合の一例

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