ピーバディー・プレイスを通ってB.B.キング・ブルーバードへ

ピーバディー・プレイスを通ってB.B.キング・ブルーバードへ

シェルビー・ファームズ・パークでサイクリングをした後、時間調整のために一度ホテルに戻り、夕方から出かける事になりました。僕はちょっと気になる事があったので出かける事にしました。その場所を目指してビールストリートの一つ北側のピーバディー・プレイスを歩いていると”The Blues Garage”という店頭幕を掲げている大きな立体駐車場がありました。あまりにもストレートなガレージ名に思わず笑ってしまいました。

シルキー・オ・サリバンズのパティオ

シルキー・オ・サリバンズのパティオ

目的地はピーバディー・プレイスとB.B.キング・ブルーバードの交差点からすぐの所だったのですが、ハンディー・パークの大きい方のステージからサウンドチェックをしている音が聞こえたので、ハンディー・パークを覗いてみました。しかし、まだサウンドチェックを始めたばかりという感じだったのですぐに出て、ふらりとビールストリートの方へ進んでしまいました。集合時間まで数時間あるので、急ぐことは無いと思ってるとスライドギターの音が聞こえてきました。その音はシルキー・オ・サリバンズ(Silky O’Sullivan’s)というバーのパティオ(中庭)から聞こえてきたのです。ちょっと喉が渇いていたのでビールを一杯だけ飲もうと思い、パティオの中に入る事にしました。中に入る前に、IDチェックがあります。パスポートを見せるとじーっと見るので、誕生日の所を指さすと入れと言う感じのジェスチャーをします。実に不愛想で労働意欲が無さそうなのに、どう見ても21歳以下には見えない人間の誕生年をしっかりと確認しようとする任務遂行意欲に矛盾を感じるのは僕だけでしょうか?

シルキー・オ・サリバンズのパティオ

まあ、そんな事よりも冷たいビールを手に入れることが肝心です。ステージの音に耳を傾けながらバーカウンターでライトビールを注文していると「Oh,Pretty Woman」が始まりました。この曲を最初に聞いたのは20歳の頃でヴァン・ヘイレンがカバーしたバージョンでした。ロイ・オービソンのオリジナルを聞いたのはその数年後の映画『プリティ・ウーマン』(1990年)です。この曲はテンションが上がりますよね。
その後、渋い感じのブルースを演奏して、メンフィスが誇るキング・オブ・ソウル オーティス・レディングの「The Dock of the Bay」(1968年)、多くの南部のミュージシャンにカバーされたCCRの「Proud Mary」(1969年)と続きました。いかにもメンフィス観光向けの選曲ではあるものの、名曲をいい感じで演奏されたら堪りません。他にもそのサウンドに引き寄せられて入ってきたお客の一人がある曲をリクエスト。始まった曲はなんとリトル・フィートの「Dixie Chicken」(1973年)。この「Dixie Chicken」の曲調はニューオーリンズですが、歌詞はメンフィスが舞台なのです。まだまだ陽の高いうちからご機嫌にさせていただきました。

シルキー・オ・サリバンズ Silky O’Sullivan’s

シルキー・オ・サリバンズ Silky O'Sullivan's

「Dixie Chicken」をラストにその2人組はステージを終えたので、トイレに行ってからハンディー・パークに戻ってみようと思い、建物の中に入りました。

シルキー・オ・サリバンズ Silky O'Sullivan's

建物の中には良い感じのバーカウンターがありました。メンフィスビールストリートにアイリッシュバーという一見アンマッチな感じがしますが、このお店のオーナーはメンフィスバーベキューに魅せられて、1983年にアイルランドでバーベキューコンテストを始めた方だそうです。
この建物の中を横切り扉からビールストリートに出れば近いのに、何故かパティオから外に出ようと再びパティオの方に行ってしまいました。

I AM MUSIC

I AM MUSIC

パティオに出ようとしたら “I AM MUSIC” とバックプリントされたTシャツを着たオジサンが居ました。 “I AM MUSIC” って凄いなあと思っていたら、数人の若い男の子や女の子も同じTシャツを着ていました。ちょっと気になったので再び木陰にある椅子に腰を降ろしました。

I AM MUSIC

やはり、混声のクワイヤでした。多少の粗さはありますが、元気よく爽やかです。
音楽で青少年の育成をしつつ、メンフィスの音楽を若い人たちに伝えて行こうとしているそうです。この中から世界に羽ばたいていく若い人もいるのかもしれませんね。

I AM MUSIC

クワイヤのステージが終わり、一人の女の子だけステージに残っていました。このタイミングで出ようかと思っていたら、PAからイントロが流れて動けなくなりました。サム・クックの「A Change Is Gonna Come」(1964年)だったからです。
この曲はある事件がきっかけでサム・クックが作った曲です。サム・クックとバンドメンバー達がルイジアナ州でホテルに泊まろうとして拒否され、明らかに人種隔離が理由なのは明白だったのでサム・クック達は抗議してひと悶着ありました。その後にサム・クックは逮捕されてしまいました。その出来事がベースとなっているこの「A Change Is Gonna Come」は、公民権運動で取り上げられました。
このサム・クックの代表曲となった「A Change Is Gonna Come」は、オーティス・レディングやアレサ・フランクリンをはじめ多くの人がカバーしています。最近では、Osaka Roots というバンドがインストで演奏していて、久米君のギターが実にエモーショナルで素晴らしく、一発でファンになりました。そして、何よりも、大ファンだった石田長生さんもよくライブでやっていたナンバーです。いろいろな思いが交錯して、僕はその場から動けなくなりました。

ハンディー・パークのステージ

ハンディー・パークのステージ
ハンディー・パークのステージ気持ちが落ち着いたら、ちょうど座っていたところが日向になってしまい、暑くなったのでパティオから出てハンディー・パークに戻ることにしました。ステージから素敵な歌声が聞こえてきました。ボーカルのお姉さんの歌声が僕好みなうえに、歌も上手く、ルックスもスタイリッシュな方だったのでじっくりと聞きたかったのですが、客席には全く日陰が無く、恐ろしいほどの暑さだったので、2曲程しか聴けずに退散してしまいました。 ハンディー・パークを出て、本来の目的の場所へ向かう事にしました。

次回 ⇒ 27. Memphis Blues Trail 61 のサイン に続く

ミシシッピ・リバー・カントリーUSA  Memphis Tourism

ビールストリートの場所と地図

ビールストリートW.C.ハンディ ハウス博物館からB.B.キング ブルース クラブ まで。

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