セカンドライン Second Line

葬儀のパレードとそのリズム

セカンドライン Second Line

ニューオーリンズの伝統的な葬儀に、ジャズ・フューネラルというニューオーリンズ特有の葬儀があります。ジャズ・フューネラルとは、教会や葬儀場から墓場までブラスバンドと共にパレードで見送る儀式の事です。
このパレードはグランドマーシャルとブラスバンドが先頭に立ち、棺を乗せた馬車や車とそれを囲む遺族や友人で構成されます。この先頭のグループがファースト・ラインで、このファースト・ライン続いてパレードに参加する参列者はセカンド・ライナーと呼ばれ、セカンド・ライナーのグループがセカンド・ラインと呼ばれます。
パレードは、最初は賛美歌やエモーショナルな曲、重厚な曲が演奏されますが、墓地からの帰路では明るくノリのいい曲が演奏されます。音楽の街ニューオーリンズならではの情景です。
この、セカンド・ライナー達は、ハンカチを振ったり、派手な傘を突き上げたりしながら踊って盛り上げます。この時のリズムがセカンドライン・ビートとかセカンドライン・リズムと呼ばれますが、日本の音楽用語では単純にセカンドラインと呼びます。
このグルーブ感がニューオーリンズジャズファンク、R&Bにとって、重要な要素の一つとなっています。

セカンドラインを世界中に広めたDr.Jhon

アルバム『ガンボ』ニューオーリンズ出身のミュージシャン、Dr.Jhonドクター・ジョン)は、セカンドラインのリズムを強調した「Iko IKoアイコ アイコ)」をアルバム『ガンボ』(1972年)に収録しました。自然と腰が動いてしまうダンス・ビートであるセカンドラインは、このアルバムで世界中に広まったのです。

ABBAの「ダンシング・クイーン」はセカンドラインのビート

ABBAの「ダンシング・クイーン」はセカンドラインのビートスウェーデン国内で人気の高かったミュージック・グループのABBA(アバ)が、スウェーデンのグスタフ16世の婚礼前夜祭(1976年6月)に出演を依頼されたときに、ダンサンブルな新曲を披露しようと作曲に試行錯誤します。そして、Dr.Jhon の「Iko IKoアイコ アイコ)」のビートを引用する事にたどり着きます。この曲はスウェーデン国営放送で放送されたグスタフ16世の婚礼前夜祭で披露され、スウェーデンの国民はこの曲に熱狂しました。
その後、「ダンシング・クイーン」は正式にリリースされ、スウェーデンで大ヒット。その勢いはイギリスへ飛び火し全英シングルチャートで6週連続1位に輝き、アメリカでも1位になり、日本でも大ヒットするメガ・ヒット曲となりました。
「ダンシング・クイーン」の曲調は洗練されたダンス・ポップに仕上がっているので、Dr.Jhon の「Iko IKoアイコ アイコ)」のビートを引用していることに簡単に気づきませんが、リズムは紛れもなくセカンドラインです。

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