ドクター・ジョン Dr.John

ニューオーリンズ・ミュージックの伝道師

ドクター・ジョン Dr.Johnニューオーリンズには、プロフェッサー・ロングヘアーやアラン・トゥーサンなど、ニューオーリンズを代表するミュージシャンはたくさんいますが、ニューオーリンズの音楽を世間に知らしめた功労者としては、第1にドクター・ジョンが挙げられるのではないでしょうか。
 
ドクター・ジョン(Malcolm John Rebennack Jr.)は、1940年11月21日にルイジアナ州 ニューオーリンズで生まれました。
1950年代にマック レベナックの名前でギタリストとして音楽活動をしますが、1961年に弟分のミュージシャン ロニー・バロンをかばって拳銃で撃たれ、左手の薬指が不自由になり、ギタリストからピアニストへ転向します。
60年代半ばにカリフォルニア州 ロサンゼルスに活動拠点を移し、作曲家やセッション・ミュージシャンとして生計を立てていたが、1967年にヴードゥー教とロックの融合を試みたファースト・アルバム『グリ・グリ』を発表を期に、ドクター・ジョンと名乗るようになりました。因みに、ドクター・ジョンとは、19世紀に実在したヴードゥ教の呪術師の名前です。
このヴードゥー教とロックを融合したサイケデリックな音作りは4作目まで続きます。

ガンボ Gumbo (1972年)

アルバム『ガンボ』ドクター・ジョンが親しんできた、古き良き時代のニューオーリンズR&Bのカヴァー曲がずらりと並んだアルバムです。
1曲目に収録されているジェイムズ”シュガー・ボーイ”クロフォードの「Jock-A-Mo」のカヴァー曲「Iko Iko」はシングルカットされ、ビルボードのポップ・チャートで71位を記録しました。この曲は、いろいろなミュージシャンがカヴァーをしてますが、ドクター・ジョンのヴァージョンをカヴァーしている場合も多いです。
「Big Chief」は、プロフェッサー・ロングヘアの十八番の曲で、「Tipitina」はプロフェッサー・ロングヘアのオリジナル曲です。
「Let The Good Times Roll」はアール・キングの曲で、「Come On」という曲名でも録音しており、ジミ・ヘンドリックスのカヴァーでも有名な曲です。
他にも、これぞニューオーリンズという曲が入っており、ニューオーリンズR&Bの入門ディスクとも呼べる内容です。

ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ Goin’ Back to New Orleans (1992年)

ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ Goin' Back to New Orleans (1992年)アルバム『In a Sentimental Mood』(1989年)の「Makin’ Whoopee!」でグラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞。ドクター・ジョンにとっては初のグラミー賞受賞となりました。
1992年に発表の『Goin’ Back to New Orleans』は、『Gumbo』(1972年)と同様に、ニューオーリンズの古い音楽を取り上げ、グラミー賞の最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞を受賞します。
1999年には、B.B.Kingのアルバム『Let the Good Times Roll: the Music of Louis Jordan』の「Is You Is or Is You Ain’t My Baby?」で客演し、グラミー賞の最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ボーカル賞を受賞しました。
アルバム『The City That Care Forgot 』(2008年)は、グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を受賞しました。
2011年にはロックの殿堂入りを果たしました。
アルバム『Locked Down』(2012年)は、2013年グラミー賞 最優秀ブルース・アルバム賞を受賞しました。

数多くの共演者

メイン・ストリートのならず者(Exile on Main St.)ザ・ローリングストーンズのアルバム『メイン・ストリートのならず者(Exile on Main St.)』(1972年)にバック・コーラスでゲスト参加をはじめ、多くのミュージシャンとの共演が残されています。
1976年、ザ・バンドの解散コンサートにゲスト参加し、映画『ラスト・ワルツ』にも映っています。
カーリー・サイモン、リンゴ・スター、プロフェッサー・ロングヘア、ジョニー・ウィンター、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアンソニー・キーディスなど、挙げればキリがないほどです。

ハリケーン・カトリーナの被害者救援 ベネフィットアルバム

ベネフィットアルバム『Our New Orleans』ノンサッチ・レコーズが、ハリケーン・カトリーナの被害者救援の為にリリースしたベネフィットアルバム『Our New Orleans』に、ドクター・ジョンも参加しています。
このアルバムには、アラン・トゥーサンやワイルド・マグノリアス、アーマ・トーマスをはじめ多くのニューオーリンズのミュージシャンが参加しています。
このアルバムの純収益は全て”Habitat for Humanity”に寄付され、メキシコ湾岸のハリケーン被害者救済の為の資金に充てられます。

ニューオーリンズの観光マップ

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