五十嵐カノア Kanoa Igarashi

日本人初のCT選手

五十嵐カノア Kanoa Igarashi

五十嵐カノア(Kanoa Igarashi)は、サーフィンの世界最高峰の WSLチャンピオンシップツアー(CT)に参戦するプロサーファー。
1997年10月1日にアメリカ カリフォルニア州で生まれ、カリフォルニアで育つ。両親は日本人プロサーファーで、2016年にCTに参戦した当時は日本国籍とアメリカ国籍の国籍を持っており、アメリカの選手としてエントリー。2017年からは年齢により二重国籍が認められず、国籍の選択を選択するにおいて、2020年東京オリンピック 日本代表を目指すために日本国籍を選択。2017年からCTも日本人選手としてエントリー。
ハンティントンビーチがホームで、ハンティントンビーチのローカル・ヒーローの一人。メインスポンサーはクイックシルバー(Quiksilver)。
英語、日本語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語の5ヶ国語を操るマルチリンガル。

五十嵐カノアのキャリア

五十嵐カノア Kanoa Igarashi

2000年両親の影響で3歳からサーフィンを始める。
2004年「Kids For Clean Waves」Huntington Beach サーフィン大会に6歳で初出場し初優勝。
2007年9歳で、USAサーフTEAMのジョイ ブランコーチの推薦を受けてUSAサーフTEAMの最年少強化選手となる。
2009年年間30勝を達成しNSSA(アマチュアサーフィン連盟)の最多優勝記録を樹立。
2010年12歳でNSSA全米ナショナルチャンピオン獲得。
NSSAサーキットを引退し、プロへ転向。
2011年クイックシルバーとスポンサー契約。
ニューポートで開催されたVQS(ボルコム世界選手権)ボーイズクラスで優勝し、12歳で世界チャンピオンになる。
2012年ASPプロジュニア(U-12)フロリダで開催された「DNAエナジープロ」ASP(WSL)初優勝。
リップカール「グロムサーチ」ハンティントンでU-16とU-12の2ディビジョンを制覇しダブル優勝。
リップカール「グロムサーチ」サンフランシスコで全米ナショナルチャンピオンシップファイナルで優勝。
USAチャンピオンシップU-18クラスで優勝し最年少優勝者(14歳)となる。
2014年ASP「Shop City Pro 2014」ハンティントンビーチで優勝。
2015年WSLマンリービーチ「ハーレー・オーストラリアン・オープン」プロ・ジュニア優勝。
ポルトガル「Boonman Air Show」エアリアルコンテスト優勝。
サンディエゴ「2015 AM SLAM SURF SLAM」優勝。
WSL ロスカボス メキシコ「Los CABOS オープン」プロ・ジュニア優勝。
WSL QS-3000 バージニアビーチ「Vans Pro」優勝。
WSL QS-6000 ブラジル イタカレ「マハロ・サーフ・エーコ・フェス」優勝。
2016年WSLチャンピオンシップツアー(CT)に参戦。(18歳 最年少出場者)
QS6000「Pantin Classic Galicia Pro」で優勝。
WQS6000「Hang Loose Pro Contest」優勝。
CT最終戦 Billabong Pipe Masters 準優勝。(日本人サーファーで初のCT決勝進出)
CT年間20位。
2017年WCT QS1000「SHOE CITY PRO」優勝。
WSL QS10000「Vans US Open of Surfing 2017」優勝。
CT年間17位。
2018年WSL QS10000「Vans US Open of Surfing 2018」優勝。連覇を飾る。
CT年間10位。
2019年WSLチャンピオンシップツアー(CT)第3戦コロナ・バリ・プロテクテッドで、CT初優勝。アジア人がCTで優勝するのは初めての快挙。
CT年間6位。
2020年コロナの影響でCT開催は無し。東京2020オリンピックで銀メダル獲得。
2021年CT年間5位。第6戦「Jeep サーフランチプロ presented by Adobe」で3位。

2016年 CT最終戦 Billabong Pipe Masters
日本人初のCT決勝進出

五十嵐カノアは、2016年シーズンよりサーフィンの世界最高峰のWSLチャンピオンシップツアー(CT)に参戦。このCTの最終であるハワイ州 オアフ島 ノースショアにあるパンザイパイプラインで開催された「Billabong Pipe Masters」で自身初、日本人初のCT決勝へ進出。ノースショアパンザイパイプラインは、サーファー達の聖地とも言えるサーフポイントで、ほとんどのプロサーファーがここで優勝する事が夢である。
この大会で五十嵐カノアの印象的な3つのヒートが展開された。
ラウンド4では、チャンピオンシップ ツアー 2016 のランキング2位の ジョディ スミス(Jordy Smith)と、パイプマスターズ最多勝利で最多ワールドチャンピンの帝王ケリー スレーター(Kelly Slater)に勝つ。
Quarterfinals(準々決勝)では、9.93ptを叩き出しジョディ スミスに逆転勝利し、ラウンド4での勝利がフロックで無い事を証明。
Semifinals(準決勝)で、師匠的存在のケリー スレーター(Kelly Slater)に逆転勝利し師匠越えを果たす。ケリー スレーターはインタビューで微笑みながらカノアの躍進を讃えた。
この勢いに、Final(決勝)は優勝かと期待されたが、タヒチのミッシェル ボレーズ(Michel Bourez)に敗れ準優勝。
CTルーキーのこの快進撃は、五十嵐カノアがトップサーファーとなった時には伝説の一戦となるだろう。

2017年 Vans US Open of Surfing
悲願の初優勝

五十嵐カノア Kanoa Igarashi

ハンティントンビーチがホームの五十嵐カノアが「Vans US Open of Surfing 2017」で悲願の初優勝を飾った。この数年2度のセミファイナル(準決勝)進出はあるもの、ファイナル(決勝)進出できず悔しい思いをしていた。
クォーターファイナル(準々決勝)では、ニュージランドの元CT選手のリカルド クリスティ、セミファイナル(準決勝)では現役CT選手でアフリカ・J-BAYで優勝したばかりのブラジルのフィリッペ トリード、ファイナル(決勝)ではブラジルのトーマス ヘルメスを破った。
ハンティントンビーチのローカルヒーローである五十嵐カノアの初優勝に観客は大いに沸いた。この優勝で2017年のQSランキングは3位になり、2018年のCT参戦が確定した。

2018年 Vans US Open of Surfing 連覇

五十嵐カノア Kanoa Igarashi

五十嵐カノアは、2017年に悲願の Vans US Open of Surfing 初優勝を遂げたが、2018年に連覇を達成した。Vans US Open of Surfing 連覇は、2008年・2009年に、ハンティントンビーチ出身のブルット・シンプソン(Brett Simpson)が達成して以来となる。

2019年 CT初優勝

2019年5月25日、インドネシア バリ島 クラマスで開催された、WSLチャンピオンシップツアー(CT)第3戦 コロナ・バリ・プロテクテッドの決勝で、ジェレミー・フローレス(フランス)を下して優勝。アジア人として初のCT優勝の快挙と遂げた。

この日、クォーターファイナル(準々決勝)で、エイドリアン・バカン(オーストラリア)と対戦、前半では先行していたが後半で逆転される。残り時間6分でマネーターン等を決めて逆転に成功し、そのまま逃げ切る。
セミファイナル(準決勝)は、レジェンド・サーファーで師匠でもあるケリー・スレーター(アメリカ)と対戦。リスキーな大技を決めようとして失敗が続くが、前半の終わり頃に7.67をスコアして逆転。そのままリードを守り、ファイナル(決勝)進出。
リズムに乗るカノアは、前半で見事なフローターから大きなレイバックへとつなげるなどして、9.10というエクセレント・スコアを叩き出し、一気にフローレスを追い込む。余裕があるカノアは伸び伸びとサーフィンをする一方、フローレスは焦りもあるのか波の選択を誤ったりして、スコアを伸ばしきらずに終了。カノアは堂々のパフォーマンスでCT初優勝を飾った。

CTのランキング

2016年 20位、2017年 17位、2018年 10位、2019年 6位、2021年 5位。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で、中止となった。

東京2020オリンピック競技大会

サーフィンが、東京2020オリンピック競技大会から正式種目となり、千葉県 釣ヶ崎海岸で開催される事となった。しかし、新型コロナウイルスの影響で、東京2020オリンピックは異例の延期開催で、2021年に開催された。台風接近に伴い、27日に準々決勝と準決勝が、28日に決勝が行われる予定だったが、決勝が7月27日に前倒しされた。

五十嵐カノア選手は、準々決勝でコロヘ・アンディノ(USA)、準決勝で2014年と2018年のWSLワールドチャンピオンのガブリエウ・メジナ(ブラジル)に勝利し、決勝へ進出。2019年WSLワールドチャンピオンのイタロ・フェヘイラ(ブラジル)と対戦して敗れ、銀メダルを獲得した。

協力:カリフォルニア観光局、Visit Huntington Beach